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2023年9月29日金曜日

ジャニーズ劇場 開業





























投稿者: @24newseveryday
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ジャニーズ起用「切る」も「続ける」も

 表面的な対応にすぎない


聞き手・吉田純哉


スポンサー、メディア、それぞれ異なる問題点

 ジャニーズ事務所の所属タレントを起用した広告が、次々と打ち切られている。一方でテレビ番組などへの出演は続いている。この状況をどう見るか。取引企業の責任とは? 人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子副理事長に聞いた。

 ――故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所の所属タレントを起用した広告を見直す企業が相次いでいます。

 「多くの企業は、世論が沸騰しているから契約を切っておこう、という態度だったのではないか、と受け止めました。これでは、あくまで自社のリスクマネジメントに過ぎません」

 「ずっと広告に起用してきたスポンサー企業が、急に『人権侵害は許さない』と言い出したことに、私は違和感を感じました。ジャニーズ事務所が性加害を認めたから契約を見直すのでは、本来は遅いのです」

 「現状では、契約を『切った』ところも、『続ける』ところも、問題があると感じます。スポンサー企業も、メディア企業も、極めて表面的な対応しかしていない。自社の問題として、捉えていないのです」

「所属タレントも人権意識問われる」

 ――「自社の問題」とは、どういうことでしょうか。

 「自社において、なぜこの問題を見過ごして取引を続けてきたのか。再発を防ぐためにはどうしたらいいのか。取引企業は、外部専門家など第三者の客観的な視点も取り入れて、自社がしてきた対応を検証する必要があるのです。それを今このタイミングでしっかりやらないと、再び同じことが起きるだけです」

 「また、契約を打ち切った企業も含めて、ジャニーズ事務所に対して、取引した企業としての影響力を行使することが求められます。被害者の救済をしっかりするのか、再発防止策を打ち出せるのか。注視して改善を促していくべきです」

 ――取引先の企業にも責任があるのですね。

 「今回は児童の性的搾取にあたる、非常に深刻な人権侵害です。場合によっては、児童労働の問題にも関わっていきます。人権問題は、製造業での児童労働や強制労働だけではありません」

 「2011年に国連で採択された『ビジネスと人権』に関する指導原則では、問題を起こした企業だけでなく取引企業も、人権侵害を防止・是正・救済するように、と定められています。今では国際標準となっており、欧米では、取引先も含めて問題がないか調べる『人権デューデリジェンス(人権DD)』の法制化が進んでいます。日本は遅れています」

 「ジャニーズ事務所の取引先は、エンターテインメント業界においても、この指導原則が適用される、という認識をほとんど持っていなかったのではないでしょうか。性加害を温存するような構造に、取引企業は長年、『加担』してきたのです。その認識があるでしょうか」

 ――ジャニーズ事務所の取引先には主に、広告スポンサー企業と、メディア企業があります。

 「ともにジャニーズ事務所にお金を払って、対価を得ており、指導原則が適用されます。対価は、スポンサー企業であれば、商品が売れる。メディア企業のうち取引の大きいテレビ局は、視聴率を稼げます」

 ――所属タレントの起用については対応が分かれていますが、スポンサー企業では、CMなどの広告で相次いで降板させる動きが目立ちます。

 「CMは1人のタレントが長期間担うことが多いので、契約を見直すのは一つの判断です。しかし契約打ち切りが重なれば、被害者の救済資金にも影響が及ぶかもしれません。ジャニーズ事務所は資金面での心配は少ないかもしれませんが」

 「契約を切るというなら、スポンサー企業は、被害者の救済資金を拠出するなどしなければ、責任を負わずにジャニーズ事務所と被害者、所属タレントを切り捨てただけとなってしまう恐れがあります」

 「さらに今後、広告にはどういうキャラクターを起用するのか。人権を遵守する行動規範を作って、企画のあり方やキャラクター採用を人権の視点から見直すことが重要です。このままでは、ほとぼりが冷めたら、また人権意識の低い事務所と契約する危険があります」

 ――一方、テレビ局は所属タレントを使い続けています。

 「CMと比べれば、多くの出演者のうちの一人という場合が多く、取引の性質は少し異なります。番組出演者が労働者に近い性質を有する場合もあることに留意されるべきです」

 「ですが、契約を漫然と続けることは、切ることよりも悪いのです。ただ使い続けるのではなく、取引停止も視野に入れて事務所に改善を求めなくては、影響力は発揮できません。ジャニーズ事務所に早急な改善が見られないのであれば、時期をみて、打ち切ることを辞さないという姿勢を示すべきです」

 ――テレビ局の多くは「タレントに非はない」としています。

 「タレントを大事にするのは、悪いことではありません。ただその言葉は今、自分たちが何もやらないことの免罪符として、テレビ局に使われてしまっているように感じます。何があっても『タレントを守らないと』『ファンの気持ちを大切に』と言い続けていては、従前と何も変わりません」

 「より効果的に影響力を行使するには、メディア企業が集団となって、ジャニーズ事務所に働きかけるのが有効です」

 「たとえば、テレビ局が横断的に対応する。業界全体で人権問題の指針を作って、事務所に改善を申し入れるのです」

 「アメリカでは、ヘイトスピーチ対策が不十分だったフェイスブック(現メタ)から、大手企業が広告を一斉に一時引き揚げたことがありました。それがきっかけの一つとなり、フェイスブックは社名を変え、人権指針を確立しました」

 ――ジャニーズ事務所とテレビ局の関係をめぐっては、ジャニーズ事務所は2019年に公正取引委員会から、事務所を離れた元SMAPのメンバーがテレビに出演できないように圧力をかければ、独禁法に触れる恐れがあるとして注意を受けています。

 「事務所はどのような圧力をかけていたのか。テレビ局はどんな圧力を受けて、どう対応してきたのか。この不正常な取引慣行も検証が必要です。これも、人権侵害が長く放置された原因の一つだからです」

 「テレビ局もジャニーズ事務所も、こうした関係性について検証しないままタレントを起用し続けることには、大きな疑問を感じます」

 ――ジャニーズ事務所の会見を受けて、NHKは「所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して、出演者の起用を検討したい」というコメントを発表しました。国連の指導原則には沿うものになっていると思いますが。

 「他のテレビ局もそうですが、これまで性加害に加担してきたのは深刻な問題なのに、自社の責任という点ではいまだ表面的な対応やコメントにとどまっているように思います」

 「NHKは『クローズアップ現代』で問題を長く報道してこなかったことを検証していましたが、これは番組内でだけ検証するような問題でしょうか。経営陣ではなく、影響力のあるアナウンサーやキャスターが『私たちも反省しなくてはいけない』と発言するのも違和感があります」

 「メディア各社は経営陣主導で第三者を入れた調査をして、自社で責任をもって再発防止策を公表すべきです」

 ――朝日新聞社もメディアの一つです。ジャニーズ事務所のタレントを紙面などで掲載してきた一方で、性加害問題については長く報じてきませんでした。

 「朝日新聞は9月9日付の社説で、『自社が取引先の人権侵害にどう加担したのか検証し、是正を強く求め、履行状況を確認することは、今やあらゆる企業に課せられた社会的責務だ』と書いています。社説で書くだけではなく、自社の長期にわたる対応の問題についての検証が求められます」

 ――ジャニーズ事務所には多くの人気タレントが所属しています。所属タレントは難しい立場にありますね。

 「所属タレントも今後、一人ひとりが人権意識について問われるでしょう。『社名を残したい』『ジャニー氏の精神を受け継いでいく』などと言えば、人権意識の低いタレントと見られて仕事のオファーが減るかもしれません」

 「ジャニーズ事務所による被害者の救済が不十分に終わる可能性もありえます。何としてもそういう事態にならないよう全力を尽くすべきですが、もしそうなってしまった場合、人権意識に欠ける事務所にとどまっている、と評価されるでしょう。移籍することが選択肢になるでしょうし、その前提として移籍の自由が完全に保障されなければなりません」

 ――この性加害問題から、私たちは何を教訓としなければならないでしょうか。

 「これはジャニーズだけの問題ではありません。約2割の俳優らがセクハラを受けたことがあるという調査結果が、厚生労働省が近く公表予定の2023年版『過労死等防止対策白書』原案に盛り込まれることが分かっています」

 「華やかな業界で、利益を優先して、成功している人たちの声ばかりを聞いて、被害に遭った人の声を黙殺してきたのです。メディアも含めて企業は、こぼれ落ちた人、犠牲になった人の声を聞いてほしいです」

 「そもそも、国連の指導原則が求める人権DDは、自社と取引先の人権侵害のリスクを把握し、未然に防止するための対応を取ることを求めています。問題が表面化した一企業をキャンセルするか否かに集中するのではなく、まだ表面化していない人権侵害にも目を向けて、その根絶と再発防止を真摯に進めるべきです」

 「エンターテインメント産業と取引関係のあるすべての企業は、この機会に性暴力禁止を含む人権方針を定め、全ての取引先の性暴力のリスクを把握し、その根絶を求める人権DDを実施すべきです」

 「取引企業は再発防止策を徹底しなければ、構造的な問題は繰り返されます。このままでは、世論の流れに合わせて、ジャニーズ事務所をたたいて終わってしまいます」(聞き手・吉田純哉)

伊藤和子

 いとう・かずこ 弁護士。女性の権利をはじめ人権問題が専門。国内外のNGOと連携し、現地調査も続ける。著書に「人権は国境を越えて」など。

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