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2023年12月26日火曜日

「フィギュアスケートの教科書作るなら」 本郷理華さんが見た全日本
































「フィギュアスケートの教科書作るなら」


本郷理華さんが見た全日本


2023年12月26日 6時30分






















フィギュアスケートの全日本選手権は24日、長野・ビッグハットで女子フリーがあった。

 ショートプログラム(SP)首位の坂本花織(シスメックス)がフリーも154・34点で1位になり、合計233・12点で3年連続4度目の優勝を果たした。

 2位に合計点で20点以上差を付けた圧勝の要因はどこにあったのか。新世代の台頭は。美しいと感じたスケーターは――。

 2015年と16年の四大陸選手権で銅メダルを獲得した本郷理華さんが振り返った。

   ◇

 全日本選手権には独特の緊張感があります。

 私が現役の頃も、公式練習から「ならでは」の雰囲気を感じていました。会場が大きいし、リンクは青色で包まれている。「全日本だ」という喜びもありますが、演技直前の6分間練習になると「あ、試合が始まる」と心臓がバクバクしました。

 「本当はもっとできるのに」という選手もいる中、今大会の女子SP、フリーで力を全て出したのが、坂本花織選手でした。

 フリーは一つ目のジャンプから、抜群の安定感を見せました。

 大会に向けて力を入れてきたというルッツは、見る人の角度によって「エッジが倒せていない」と減点されかねない難しいジャンプです。私も「誰が見てもルッツ」というジャンプを跳ぶのは苦労しました。3回転半(トリプルアクセル)など、大技を跳ぶ選手と戦う坂本選手にとっては少しの減点も命取り。しっかり対策したことで、SPとフリーのどちらも加点を引き出しました。

 滑りについても、音をしっかりと捉えていました。振り付けの細かい部分まで詰めて練習したのでしょう。見る人に、気持ちの余裕すら感じさせるような、素晴らしい演技。世界選手権や五輪を経験し、パワーのあるジャンプやスピードだけではなく、表現の幅を広げていると感じました。

 世界選手権の優勝をキャリアのゴールとする選手も多い中、坂本選手がめざすのは3連覇。日本女子にとって未知の領域です。

 ただ、試合になるとグッと集中できる力がある。私は、ジュニア時代に坂本選手と同じ大会に出たことがあります。演技前はピリピリしているわけではないのに、本番になると実力を発揮する。私は「心臓に毛が生えているのかな」と思っていました(笑)。

 それに、これまでに培った安定感もある。今までやってきたことを来年3月の本番でも発揮すれば、カオちゃん(坂本の愛称)なら勝てると思います。

 2位に入った18歳の千葉百音選手(木下アカデミー)は、つま先から指先まで全体を使う意識を持っている選手です。ジュニアの時から「流れるように滑る選手だな」と思っていましたが、今季のSPは細かい動きが多く、新しい挑戦だと感じました。

 私がかつて演じた「リバーダンス」も、細かい動きが多かったプログラムです。こういう曲は、ちょっとした動きのズレが出やすい。私の場合、曲に合わせないといけない見せ場以外の部分で、シャシャッと早く動いて音に合わせるようにしていました(笑)。

 新しい挑戦をしっかり自分のものにして、良い演技につなげました。今年は練習拠点を仙台から京都に移すという環境の変化もあった中、良い方向に向かっていることを全日本の結果で示したのではないでしょうか。

 ジュニアから2年連続で3位に入った島田麻央選手(木下アカデミー)のジャンプは高さ、幅、回転の鋭さのいずれも素晴らしい。回りながらではなく、回りきってから着氷するので余裕を感じさせます。本人はミスを悔やんでいましたが、連続表彰台をこれからの自信にしてほしいですね。

 他にも、樋口新葉選手(ノエビア)の復帰は印象的でした。

 総合12位。結果には悔しい気持ちがあるかもしれませんが、新葉ちゃんにしかできないスケートがある。スピード感やパワフルさ、情熱的な動きを含めて、訴えかける何かがあります。そういった演技をまた見ることができたのがうれしかったです。

 「これがフィギュアスケートだ」と感じたのは青木祐奈選手(日大)の滑りでした。

 ジャンプはある日突然跳べるようになることがありますが、滑りはそうではありません。

 一つひとつの音と歌詞に合わせて動いていて、緩急のつけ方、柔らかい動きのバランスも良かった。姿勢はもちろん、足の伸ばし方やターンの正確さといった基本がしっかりできている。長年積み上げたものを感じました。

 もし、私がフィギュアスケートの教科書を作ることがあれば、青木選手の滑りを載せたい。そう感じる滑りでした。
















(構成・藤野隆晃)



















































































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